第54回 懸賞論文 受賞者 木村 瑳月氏

第54回懸賞論文 新人部門

「私の言いたいこと」(テーマ自由)

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木村 瑳月

博報堂

マーケットデザイン事業ユニット
クリエイティブ局 竹内チーム コピーライター

『東日本大震災からみる「物語化」の暴力性と私たちの使命』

プロフィール

1998年生まれ。宮城県出身。東北大学大学院農学研究科で森林生態学を専攻。2023年㈱博報堂入社。クリエイティブ局にコピーライターとして配属され、広告制作に従事。TVCM、グラフィックはもちろん、様々な領域でコピー・コンセプト開発を中心に担当。

受賞コメント

この度は、栄誉ある賞に選出いただき、大変光栄です。コピーライターとして、自分なりの覚悟を表明する場所にしようと、ひそかに思ったことが執筆の出発点です。まだまだ未熟者ですが、言葉を軸に表現することへの責任と向き合いながら、どんなときでも言葉の可能性を信じて、諦めず、粘り、書き続けたいと思います。最後に日々ご指導いただいている方々に、この場をお借りして感謝申し上げます。

審査員からのコメント

「物語化」はプランニングやストーリーを作る時、ポジティブとして使われている言葉を用いてテーゼしているところが斬新である。また、ご自身も、広告人としての「覚悟」「戒め」もきちんと踏まえて論を括っているところはとても素晴らしいと感じました。

日本経済広告社 斎院広康

辛い経験には当事者にしかわからない感情がある。非当事者が語ると大切なことが抜け落ち、当事者を傷つけることもある。この問題は避けがたいが、「消費のための物語」ではなく「未来へ紡ぐ物語」にすることで意味を持たせられる。広告は未来への行動を促す。傷つける怖さから逃げず、伝えるべき言葉を探し続ける覚悟が必要だ。これは筆者の決意表明だ。

読売エージェンシー 笠本和行

東日本大震災から14年、被災を経験した筆者が指摘した他者による「物語化」の暴力性にはっとさせられた。違和感や憤りを見過ごさず言語化し、問題提起する力が際立っていた。広告界に身を置くものは企業や人・商品・ブランドの物語化に携わることが多い。その時に求められる感受性、発揮すべき力、使命とは何か。言葉と向き合いながら、広告人として歩もうとする筆者の覚悟と気概を感じ、読み手に示唆と勇気を与える作品である。

電通 小松祐子

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