第54回 懸賞論文 受賞者 高田 倫太郎氏

第54回懸賞論文 新人部門

「私の言いたいこと」(テーマ自由)

ronbun2025_08

高田 倫太郎

日本経済広告社

CPD局 3部 1ルーム プランナー

『言語から広告へ、「ポライトネス理論」の拡張
――両極端の「フェイス」をもつ Z 世代を解きほぐす』

プロフィール

2000年生まれ。新潟県出身。2023年東北大学文学部人文社会学科卒業。言語学を専攻し、「日本語母語話者の英単語の発音と音楽的素養」を題材に卒業論文を執筆。同年、(株)日本経済広告社に入社。食品メーカー、化粧品メーカー、外食チェーンなどのプロモーション戦略の立案に携わる。

受賞コメント

この度は名誉ある賞に選出いただき、光栄に存じます。論文執筆に際し支えていただいた皆さま、そして日頃よりあたたかくご指導いただいている皆さまへ、この場を借りて感謝申し上げます。
「ポライトネス理論」における「フェイス」は、人類のごく普遍的な欲求です。今回取りあげたZ世代はもちろん、まだ見ぬ”β世代”にも通底するのではないでしょうか。「フェイス」をひとつの足がかりに、生活者を捉え、生活者と向き合い続けていきます。

審査員からのコメント

語用論の「ポライトネス理論」を広告コミュニケーションへ拡張するとした中で、Z世代をターゲットに、いくつかの広告事例を分析しており、わかりやすく論を進めていました。また、2つのポライトネスとコミュニケーション特性について図式化したり、フェイスの強さ別にコミュニケーションスタンスの分類例をあげつつ、自分の考えをまとめている点は非常に興味深く、わかりやすかったと思います。

I&S BBDO 高澤正行

社会語用論の「ポライトネス理論」を援用して、Z世代と広告コミュニケーションを分析した。4象限の分類も実用的で興味深い。中でも、次のパラドキシカルなフレーズには発見があった。「Z 世代は、単に広告を敵視しているのではない。むしろ、広告は自分の味方であるという認識が強い分、そのハードルを越えてこない広告に嫌悪感を抱いているのである。」

読売広告社 中村信介

昨今、コミュニケーションにおいて「配慮と訴求力のバランス」はより難しくなっていますが、この論文では、ポジティブ/ネガティブフェイスという相反する欲求を状況に応じて絶妙に配慮することで、適切なコミュニケーションの実現に繋がることが、事例を交え分かりやすく論じられています。提示された分類等はシンプルで説明力が高く、Z世代を中心にこれからのプランニングの新たな指針となる可能性、期待感を感じました。

日本経済社 神田貴志

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