第53回 懸賞論文 受賞者 福永 琢磨氏

第53回懸賞論文 論文の部銅賞

課題:広告の新しい姿

①福永琢磨

福永 琢磨

電 通

BXクリエーティブ・センター
エクスペリエンス・デザイン部 ライター コピーライター

『熱が「直」に伝わる距離へ
〜気持ちの力で時代を動かす、広告熱力学〜

*作品のサマリーは、下記よりお読みいただけます。
作品要約

プロフィール

1994年、(株)電通入社。以来、一貫してクリエーティブ局に在局。企業の社会的存在意義が重要視される中、クリエーティブの力をよりソーシャルに活かすべく、2020年より現局に移籍。思考の深掘りを可能にする独自開発のルーツ・シンキングメソッドを用いたワークショップで、企業のパーパスやMVV策定、サステナ文脈での商品開発などを行う。本質的な意義の発見=コアコンセプト・ファインディングを得意とし、教育分野も経験豊富。

受賞コメント

栄誉ある賞をいただき、大変光栄に存じます。最近、毎日の実作業の中でも、持続可能社会に向けた価値観の転換を目指すものが目に見えて増えてきましたが、人々の意識における変革はなかなか進んでいません。社会を変えていく「熱」をどう生み出すのか。そこに横たわる問題の本質に広告人たちが本気で目を向ければ、きっと何かいいアイデアが生まれるはず。そんな期待とともに書いた論文でした。この度は本当にありがとうございました。

審査員からのコメント

本作品を読んだわたしの審査メモの一行目は「最高かよ、コイツ」でした(コイツ呼ばわり、申し訳ない)。地球規模の社会課題の解決に立ち向かいたいものの、醒めきった生活者をどうしたら味方に付けられるのか?という方法論が見つからなかったのは、「かっこつけてる」から。「効率も追っかけようとする」から。もっとかっこわるくても、手間でも、直(じか)にぶつかって本気と熱意を伝えろよ。そこまでして新しい価値観を植え付けて社会に変化をもたらしてこそ新しい広告と言えるんだ。と。叱咤と共に勇気をいただいた気分。

朝日広告社 大城勝浩

社会の存立危機から脱するために個人の自由意志、主体性が発揮されるような「インクレディブルパワー」を引き出すことが新しい広告の使命と筆者は主張する。そのために、堂々と「きれいごと」=パーパスを追及すること/しかも協力し合ってそれを実現する熱源に広告がなるという力強い宣言だ。科学用語のメタファーを効果的に使い、読み手を引き込み鼓舞する文章のうまさがある。昨年の金賞受賞者でもある筆者は、生活者が主体的に社会を好転させる力を持つことを信じ、ここに広告がポジティブに役立てる視点を力強く提供している。広告業界人として勇気づけられる論文。

大広 片倉淳子

スケールが大きい!熱い!筆者は鳥の目、虫の目、魚の目を通して多彩な事例から熟考し「広告の新しい姿」を現そうと試みる。広告の力を「大蒜の働き」に例え、社会の持続可能性を「熱力学の第二法則」を用い探ってみせる。広告の未来を、「生命の動的平衡」や、スパリゾートハワイアンズの「フラガール」から語って魅せる。発想の宝石箱だ。

読売エージェンシー 笠本和行

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