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株式会社 日本経済社
コミュニケーションプランニング局
プランニング2部

天野 豪紀

「わたしがアカデミー賞作品賞から学んだこと」

 

第94回アカデミー賞授賞式がロサンゼルスで開催され、「コーダ あいのうた」が作品賞に輝いた。コーダ(CODA)とは「Children of Deaf Adults」の略で「ろう者の親に育てられた耳の聴こえる子」という意味だ。家族でただ一人の聴者である少女が、音楽の道に進む夢と耳の聴こえない家族を支える現実との葛藤の中で、強く生き抜く様を描いた作品である。完成度が非常に高く、私はすでに2回観た。この原稿を書きながら、3回目を観に行こうと考えてしまっている。
私はこの映画の聴覚障害のある人物の描き方に感銘を受けた。その表現について、監督がインタビューで語った一部を東洋経済の記事から引用したい(※1)。
“彼らは耳が聞こえないわけですが、それが彼らのすべてではありません。「障害者」という枠組みではなくリアルな人間としてのキャラクターを描き出したかったという思いがあったんです。”
障害のある人を始めとするマイノリティを描く作品は、当事者に「かわいそう」というレッテルを貼り、困難に立ち向かう姿を勇敢に描いて、観た人の感動を促す作品が多いように感じる。
しかし私がコーダを観たとき、笑って泣いて喧嘩したり、時には下品な冗談を言ったり、その人間味溢れる描き方に新鮮さを感じ、同時に新たな気付きも得た。「そうだ。この人たちは決してかわいそうではない。出来ないことを受け入れて、毎日を楽しく生きているんだ」と。
私自身が右足に病気を抱えていた過去を思い出した。その時に感じていたのは、気遣いへの感謝と少しの複雑さ。他の人よりできないことがあったが、それを受け入れて自分なりに楽しんでいた。だがどこかで複雑な気持ちがあったのは、周囲の過剰な「かわいそう」を子どもながらに感じ取っていたのかもしれない。

 

昨今ではダイバーシティという言葉が浸透し、多様性を意識した広告が一般化してきた。だからこそ障害のある人を特別な存在としてではなく、リアルな一人の人間として描く監督の姿勢は、多様性への関心が高まる広告業界においても重要だと感じる。その「当事者と向き合う誠実さ」を私はこの映画を通して学んだ。
今回のアカデミー賞では、コーダに出演した俳優がろう者として初めて助演男優賞を獲得した。彼の名前が呼ばれた瞬間、多くの人が「両手をヒラヒラ」させた。手話の世界でいう「拍手」だ。その時に私は、社会は少しずつ前進しているんだと確信した。この映画のような社会を前進させる力を持つ広告や企画を、広告業界の若手の一員として生み出していきたい。そう強く決意した。
※1 https://toyokeizai.net/articles/-/507482

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