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株式会社 双葉通信社
デジタルマーケティンググループ
デジタルプランニングチーム

草野 みらい

「好きって言ったら嫌いって言わないで」

 

SNSで誰とでも簡単に繋がれる時代。わざわざLINEするまでもないが、誰かの目にはついてほしいコンテンツに出会ったときTwitterが役に立つ。誰かにわざわざLINEしたら少し自慢気になってしまって気が引けるときはInstagramの出番だ。私も含め、今の若者はそれぞれのSNSの特徴を感覚的に理解し、本当にうまく使い分けている。SNSで見た投稿にリプライをして、そこからLINEに発展、今度飲みに行かない? なんて話になって、直接会うことも頻繁にある。SNSでのコミュニケーションとリアルのコミュニケーションに境がなくなっている例だと思う。
そんな便利なSNSだが、向き合い方は想像以上に難しい。私が高校生の時、「なんかみらいちゃん(私の名前)て、SNSのセンスないよね(笑)」と言われたことがある。周りの目が気になる青さに包まれていた私は、たまに挨拶をする程度のクラスメイトからのちくっとした一言にとても落ち込んだ。私が好きなものをシェアして、好きな言葉で綴って、好きな写真をあげていたら、薄ら笑いをされてしまった。好きなものを好きなように投稿していたらいつかみんなに嫌われてしまうのでは? そう思った。今の私なら「ほっといて!」と一蹴できる、ただのクラスメイトからのどうでもいい評価に悩みすぎてしまったのだ。そしてそれからは、みんなに好かれそうなものだけを投稿するようになり、本当に好きなものは誰にもフォローされていない裏アカに投稿するようになった。人と繋がるためにあるはずのSNSで、みんなには見られていないことを願いながら、そっと投稿ボタンをタップするという矛盾。じゃあ投稿しなければいいのに、そもそもSNSやめれば? という心の声は聞こえないことにする。私も知らない誰かに、あなたのセンスは間違ってないよといつか思われたい気がした。
一昔前は、リアルの生活の中にデジタルがあった。今はリアルとデジタルの世界が並行している。今後はNFTやメタバースなんて言葉が当たり前になって、デジタルの中にリアルの生活が入っていくのだろうか。デジタルの比重が今よりももっと大きくなって、それありきの世界になったとき、リアルとデジタル、どちらが本当の個人でどちらが本当のコミュニケーションになるのだろう。少なくとも、デジタルを過信しすぎた想像力の欠如だけは避けたい。コミュニケーションには些細なことで一喜一憂できる感情が付きものだから。
アイコンやアバターの先に生身の人間がいることを忘れがちになってしまう時代に、SNSの投稿でリアルの人格まで判断されてしまう時代に、これだけは言わせてほしい。「SNSだろうとリアルだろうと、私が好きって言ったものを簡単に嫌いって言わないで!」

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